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サクラ、ヒラリ

 嫌いになったわけじゃないよ
 ただもう一緒にいられないとわかっただけ
 どう伝えようか毎夜悩んだ
 心を決めた夜、その冬一番の寒さで
 空に雪が舞ってた
 ちらちらと白い粉が藍色の深い空から降りてくるのを
 ただじっと見ていた夜
 体は芯まで冷え切って風邪を引いたんだよ
 切なくて切なくて涙が零れた
 求めても求めても一緒にはなれないなら
 温もりはわたしの心を切り裂くだけだから
 
 そういえば初めてあなたを本気で好きだと意識したのも
 冬の寒い雪の日だったね
 一番欲しいのはあなた自身だった
 口に出せずに微笑むしかないわたしにあなたは
 「キミが一番欲しい」と迷いもなく言ってくれた
 電話を切ってから我慢していた涙が溢れ出た
 声を出して泣くなんて何年ぶりだろうなんて思いながら
 
 うれしくてうれしくて
 ただ幸せでいられた最初の冬だった

 けれど時は残酷だね
 人の欲望は尽きないよね
 ただ好きだと思えること
 ただ好きだと思ってもらえること
 それだけでは満足できなくなってしまったようです

 告げる言葉を選んで選んで
 だけど、本当は好きな気持ちを断ち切ることができないまま
 もう春です
 雪の変わりに桜の花びらが夜空に浮かび上がります
 もうじき、桜も散りますよ
 藍の空に薄桃色の花びらが舞う前に
 あなたに伝えたいと思います

 もう二度と逢うことはないと思います
 さようなら

 大好きでした
 本当に大好きでした
 だけどこれは言わないでいこうと思います

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